存在の耐えられない映画の撮り方
    2009.11.29 [ Sun ] 17:41

P1011670.jpg山田さんは病院に入院しているらしかった。

「待っているのでいつでも参加して下さい」

と伝えた。

それから数週間後、山田さんから電話があった。

「退院しました。明日から稽古に参加させて下さい」

「判りました。頑張りましょう!」

更に次の日、山田さんから電話があった。

それは山田さんのお父さんからだった。

「花子は稽古に参加したいのですが、薬を飲んでいるので夜眠くなってしまって稽古に参加出来ません。申し訳ありません」

本人に代わった。

「すみません。出れなくなりましたけど、舞台は観にいきます」

と本人が、か細い声で伝えた。

可哀想になってしまった。そんなに具合が悪かったのか...。

だが、仕方がない。親から電話があったのに無理に出ろとは言えない。

それから1週間後、留守電にスタッフから伝言が入っていた。

「山田花子さんが自殺しました...」

えッ!

詳しい事は判らないが頭が混乱した。

自分の舞台に出演する筈の役者が上演前に自殺した...。

無理矢理にでも舞台に出演させてあげればこんな事にならなかったのに...と悔やんだ。

稽古場に行って出演者にその事を伝えた。

全員絶句していた。

追悼の意味でも『こじきびんぼう隊』はきっちり上演しようとみんなで誓った。

公演当日まで山田さんが亡くなった事は内緒にしていた。今みたいにネットは無かったから。

公演当日が来た!

開場と同時に信じられないくらいの観客が殺到し、5分くらいで全部うまってしまった!

こんな事はあたしの舞台で初めての事だった。

芸人・へらちょんぺの前座演芸から始まり、『こじきびんぼう隊』はスタートした。

今まで観た事もないような突飛で馬鹿馬鹿しい内容だった。

出演

象さんのポット、とうじ魔とうじ、根本敬、福本博史、遠藤昌子、石仏一之、ジーコ内山、福居ショウジン、音響・じんのひろあき原作・根本敬

カーテンコールになった。

役者全員を紹介し、最後にあたしが

「今回出演を予定していた山田花子さんはお亡くなりになり、舞台に出演出来なかった事をお詫びいたします」

と伝えた。

会場の観客は沈黙した...。

上演後、泣きながら「山田さんはどうしたんですか?」と詰め寄ってきた観客もいた。

何かとてつもない人を失ったという喪失感を初めて味わった。

続く。

 魂のアソコhttp://6929.teacup.com/zeeko/shop

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧:
存在の耐えられない映画の撮り方
このブログ記事に対するトラックバックURL:

コメントする





ライター/シャンソン歌手/映画監督

さそり

小学生時代は天才・神童だったが中学時代、頭をぶつけて馬鹿になる。コードネーム「ジーコ内山」として大川興業、竹中直人の弟子を経て俳優になり映画『ファンシイ・ダンス』『マルタイの女』『呪怨2』『日本以外全部沈没』『ギララの逆襲』『伝染るんです』等出演。鳥肌実主演『魂のアソコ』、アーバンギャルド『天才馬鹿』、津田寛治『スコーピオン&スネーク』、しじみ(持田茜)『カルト・ムービー』監督。